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少女騎士団 第二話

Das armee Spezialpanzerteam 3,
Mädchen ritter Panzer team 8."Hartriegel"
Drehbuch : Zwei.



自分の望みを叶える為に手っ取り早い方法は、強力な力を手に入れる事だ。それが出来ないなら力を持つ者の懐に入っている事。私が若い頃は地道に努力を続けていけば、必ず報われるものだと勘違いしていた。夢や理想の類いは、必ず叶うのだと思い込むよう誰かに騙されていただけだ。ガムシャラに前だけを見て、軍人として、祖国の為、民族の為、明るい未来の為に旗に従い、国に仕える。編隊を組むとはいえ、孤独なコクピット中で氷点下にさらされる身体を震わせ、鼻水を垂らし文句を言わずに冬の空もガムシャラに飛ぶ。それが望みを叶えるために必要最小限なことだと思っていた。

初めて『賄賂』の意味を知ったのは軍法裁判にかけられた時だ。

私たちに向けられた被疑は敵対する公国への領空侵犯と命令無視、一時無届離隊、亡命疑い等。領空侵犯に関しては先方から何度も『当該空域を侵犯している貴国機が存在しないか?』と問い合わせがあったそうだ。それは事実で、私たちは侵犯していたし、その行動に対して「これは危ないよな」と、皆が口にしていた。

この時、飛んでいた空域は一年半以上に渡り緊張状態が続いている土地の上空で、頭の上を敵国の戦闘機が飛ぶということがどういう事か軍人でなくとも分かる話だ。
「ああ、まずい。まずいぞ、これ以上は……」
何度、口にし、何度、無線で「帰投あるいは進路変更を求める」と仰いだことか。しかし、電波には『そのまま進路を維持せよ』という言葉しか乗ってこない。私たちは【駒】になっただけだと確信した時、冬天の月光に公国軍の戦闘機の翼が一瞬輝いたのが見えた。

全機に命じられたのは弾丸を一発も撃たずに空域を離脱する事。そう指示を出したとしても相手にしてみれば『何もしなかったんだ、許してやろう』なんて事にはならない。追いかけ回され、射線に入れば容赦なく弾が飛んできた。命辛々だ、全機一発も弾を撃つことも、機体に穴は開けども墜ちるくらいの損傷を負うこともなく、あの空域を抜け出したのは奇跡だった。
だが、どう飛び、自国の空域にどう戻ったのかなんて覚えている奴はいなかった。空軍の支配下にある空域に入ると天候が悪化し、機を飛ばすのに苦労したのだが、それが妙に安心したことは覚えている。

月光の下に雷光走る分厚い雲。ぼんやりと光る計器は使い過ぎた燃料を示し、高度を落とし雲の中に入っていくと容赦無く雨がキャノピーを打つ。レーダーに映る管制塔からの情報、闇の中に一筋の光が浮かんでいた。憔悴し、ピントの合わない視界で滑走路へと降り立ち、管制の指示でエプロンへ向かう。大雨の中に立つ人間が整備士にしては多い。きっと、我々は歓迎され迎え入れられている。こちらに当てられるライトが眩しくて眼を閉じた。

駐機するとラダーがかけられ五人ほどの拳銃を持った同胞が機体に登ってきた。「そんな所を踏むな!機体が痛むだろう!!」と思うも叫ぶこともできず、操縦桿から離れた手は疲れ切った身体にぶら下がり、だらしなく腕が垂れたままだった。「手を頭の後ろにッ!!」と怒鳴られ、頭に拳銃を突きつけられたが、どうにも垂れた腕を挙げることが出来ないのだ。
重い頭に冷たい雨と硬い銃口、耳元で何かが叫ばれコクピットから引きずり降ろされると、二メートル近い高さからコンクリートに落とされた。その雨で濡れた冷たさと硬さを顔で感じ、水たまりの中で踏みつけられ、革靴の先が見えた瞬間に意識を失った。

目が覚め、独房だと分かるのに数十分。もしや計器の故障で公国側に………………いいや、そんなはずはない。あの雨の中で見た軍服は間違いなく我が軍のものだった。上半身裸の身体を見ると無数の傷と殴られた痕が腫れ、エプロンで見た革靴の先は蹴られる直前の記憶なのだと理解した。

あの時、耳元で叫ばれた言葉が何だったのか思い出せない。

軍法裁判で「上官の指示に従っただけ」と訴え続けたが、主張は愚か、独り言にすら耳を傾けられることはなかった。そのうち何故か、仲間がひとり、またひとりと黙り込み、意を唱えることなく、言われるがまま罪を認め結審していく。
気がつけば、私は最後のひとりになっていて裁判長から「罪の意識も反省もない」として「懲役一年八ヶ月のち六ヶ月の労働所収監。のち、空軍からの強制除隊及び永久追放」を言い渡されていた。賄賂なんて知らなかったら隊の中で唯一、房に入り労働所へ送られる。仲間だと思っていた人間たちは親や親戚、上官、ツテのある政治家の力や金で空軍に残った。

粛々と刑を受けていた、ある日。鉄格子の向こう側から片眼鏡をかけた紳士が話しかけてきた。それに応じず与えられた自由時間を謳歌するために本を読んでいると、片眼鏡の紳士が独り言のように話し始める。

「貴君を飛び続けさせた理由だが……」

侵犯をしてまで『相手方の出方を知りたい、噂の新型機が投入される事例を見たい、現場を押さえたい』だけの将官がいただけ、らしい。私たちは物語の展開をを起こす仕掛けだっただけだ。刑期が終わる直前、空軍からの追放手続きが始まり出頭した帰りに牢の前で片眼鏡の紳士から「話を聴いてくれた礼だ」と握らされた大金が、誰から来ていて、どう使うのか、という事も、タイミングよく陸軍士官の椅子が買える状況にあるという事も、私に選択をする権利などないということも考えるに足りなかった。

…………………………

第八騎士団隊長室の窓の外、春雷鳴り響く重い雲を切り三三式ご自慢の翼が広げられ飛んでいく。天気図に見る上は相当揺れ冷えるだろう。私は隊長職に与えられた少々高額な椅子に座り、地上で温々とペンを握っているだけだというのに気分はペンを遊び操縦桿とする。左手が高空槓桿を探すのだが宙を切るばかりだ。

結局、人間が汚れた大地から飛び立つ事など出来ないのだと漏れた呟きに「大尉、何か言いましたか?」とエド・ホムラ中尉が書類をめくる手をとめた。



「いや、なんでもない」

独り言に皮肉を込めた冷笑で否定して、賄賂で買った少々高額な椅子に座り直す。

「午後からの取材……雑誌名は何だったか?」
「『ツクフタイゲ・リィブン』です」
「知らんな」
「それは当然かと。読者層は三十台始めから四十代半ばまでの独身女性です」

隊長以下、それを助ける部下が四人。ホムラ中尉には権限を与えて、各省庁から政治家、また身内の陸軍省内、様々な調整や細かなやり取りの類いを一任している。彼女も『私の片腕としての存在価値』を心得ているし、つまらない事務仕事が滞らないよう効率的に処理し、案件対策も先回りして網を張る。常に私の考えを理解し動きやすい環境を整える働きには、実に片腕として好感が持てる。

「その誌を受けた理由は?」
「誌の代表兼編集長が面白そうです。ユアン、お願い」
「はい。代表兼編集長のオルガ・ズデーテンは元政治記者とのことです。
 しかし、前触れなく退職届だけを置いて新聞社を辞めています」
「君が気に入りそうな人間だな、エド?」
「そんな安い気持ちで選んだと?冗談を。続けて、ユアン」
「えー……次に『ツクフタイゲ・リィブン』読者層の多くは【少女騎士団】に、いいイメージを持っていません。理由は……」

一部の国民は少女騎士団の事を、おかしな眼で見ている。それは、まだ民衆に考える力が残っているとして『健全な思考力』だと喜ぶべきことなのだが、『軍人』としては政治との板挟みになる材料になるのだから『鬱陶しい思考力』だ。さらに『社会からチヤホヤされているから気に入らない』という子どもじみた理由で少女たちに嫉妬し、嫌悪し、彼女たちの『兵士としての活躍』や『国内政治の安定装置』としての働きを直視することなく判断をしている人間もいるという点は、実に残念極まりない。

「自分も銃を持たされ、人を殺し、殺される覚悟があるというのか」
私が言ったことなのに思わず笑う。

「全く、おかしな話ですね」

ホムラ中尉が相槌を打ち「悪気はないのですよ。本当に何も見えていないだけなのです」と続けた。彼女は、この時代の、この国で、自分の努力と力で『今の位置』を手に入れた人間だから余計に鼻につくのだろう。

「ユアン、編集長の経歴が気になるな。あと取材に誰を出すのか?」
「大尉、身辺情報を照会したところ問題無いようです」
「私が勝手にナコとリトを選びました。異見はございますか?第八騎士団隊長リエドロ・アサカ大尉殿」



「いいや、ないよ。エド・ホムラ中尉殿」

彼女の部下としての完璧さに笑う。

…………………………

デルリッヒ中級准尉が「隊長が呼んでい…」と言うので伝えられた部屋にリトと向かった。一瞬、ティーチャーに呼ばれているということにときめいてしまった、わたしは馬鹿で「呼んでい…」のあとに、リトも呼ばれているということを聴かずに舞い上がりデルリッヒ中級准尉に笑われてしまった。

「取材って……そういうことは騎士団のなかに適任がいるのに」

そうリトに言っても「命令だから仕方が無い」と眉ひとつ動かさず同情ひとつしてくれない。『第三小会議室』と下げられたプレートとドアに貼られた金属製のプレートを確認し、ひと息吸いノック。
「リト・ミトエ准尉、ナコ・ツェズ准尉、両名入ります!」
開けると部屋の中から出てきた、わたしの大嫌いな煙草とコーヒーの匂いが重たい大気として襲うから少し気が遠くなった。

「この二名が、先に話した第八騎士団の【アイドル】です」

匂いで参っていて、視界が白くチカチカするわたしを大嫌いな香水をまとったホムラ中尉が知らない笑顔のおとなの前に差し出す。おとなはずるい、これでは何も言えないじゃないか。

「初めまして、准尉。私は『ツクフタイゲ・リィブン』という雑誌の記者をしている……」

記者とホムラ中尉の香水が混ざって、より複雑な不快となって苦しめた。表情を変えずにいたつもりだったのだけど、顔のどこかの筋肉がわずかに「不快だ」と言ったのかティーチャーが「ああ!そういえば、しばらく換気してない。空気を入れ替えましょう」と、その不機嫌そうな表情で不器用に笑み、窓を開けた。本当に貴方は嘘が下手ですね。

カメラマンと助手、香水の記者、それを見守るように腕を組む男性。

「じゃあ准尉、親しい人と話すように」

そう香水の記者が告げると録音機でテープを回す音が響いてインタビューが始まる。わたしは、あなたと親しくないんだけどな、と思っていた。だから、一方的に親しく陽気に身振り手振りを交えながら話す姿は滑稽にも思えた。

インタビューは一〇六分も続き、次に格納庫で広報用モックアップの月華と写真を撮り、全ての取材が終わったのは二〇四〇時過ぎだ。やはり取材は【広報組】のヤマザクラ隊やヤマユリ隊が受けるべきだと強く思う。二一二〇時を少し回っていて、寮に戻ると玄関先でファブがそわそわしている。
「あっ!やっと戻ってきたっ!」
そう言ってはしゃぐ彼女は、ずっと帰りを待っていたらしく「どんなのだった!?どんなのだった!?」と眼をキラキラさせて、わたしたちの周りを戯れ合う犬のようにぐるぐると回るのだ。
食堂のテーブルに残されていた食事をイリアルが温め直してくれた。左腕にしがみつき相変わらず眼をキラキラさせているファブに「まるで見世物だったよ」と苦笑いをすると「んー、つまんないなー」と口を尖らせた。テーブルの向かいに座ったイリアルが頬杖をついて「まあ、めんどくさそうだね」と深くため息をついて「これを毎日さー、広報組は朝から晩までこなしてるらしいし」と珍しく感心したように「すげーよなー」と眼を閉じて片手を宙に回す。

広報組の少女たちは政府や陸軍省の宣伝戦、情報戦に大きく貢献し、ポスターや雑誌の特集、新聞、果てにはテレビジョン、ラジオ出演、写真集などで積極的に露出し大きな効果を得ていると聴く。リトが表情を変えることなく簡潔に「イリアルの言う通り、世の中への見世物だ」と呟くと、すぐにイリアルが反応し「さすが元ヤマユリは発言が違いますなあ」と意地悪に言うからふたりの距離は微妙なままだ。また始まっちゃった、と困り笑うわたしと、その微妙な雰囲気の中ファブが核心をつく言葉を発した。

「ねえねえ!でもさっ!ヤマザクラとかヤマユリとか一緒に戦ったことないよねっ?」

つまり、そういうことだ。

「ナコ!ナコはいるか!?」
エントランスから不機嫌そうな大声が聴こえ、返事をして小走りに向かうと、朝とは違い重みが増した革の鞄を持ったティーチャーが、いつにも増して不機嫌そうな顔で「何か忘れていないか?」と襟元を撫でるような動きをした。






「あっ!申し訳ありません!すぐにお持ちします!」

わたしは部屋へと走る。


忘れていてくれれば、
今夜は貴方と一緒に、






……なんて。

願うことすら躊躇われる、失礼極まりない行為。
利己的な、ただのわがままな願いだ。

…………………………

三七年型『ヒュンフクーペ』のエンジンが不器用にもアイドリングをする。低い天井の車内では腕を伸ばすこともできないので、外に出てボディに寄りかかり煙草に火を点ける。肺の奥深く、濃厚な香りを招き入れると少し頭がぼーっとする。母親に煙草は身体に悪いから止めろと言われた。付き合ってきた男にはクーペなんか買い換えろと言われた。妻とは別れた、と簡潔に言い鼻をすすった上司には好意を利用された事もあるし、父には軍人なんて辞めて早く家庭を持てと言われている。どうやら、この世界は私のすることがいちいち気に入らないらしい。

ガロッガロッ!ガロッ!

不器用にも回ることを止めない並列五気筒の心地のいいエンジンサウンド。この代わりになるものは他にないし、煙草の煙のように身体の奥深くまで沁みる濃厚な香りを合法的に得られるものは他には知らない。ましてや本気で世界を変えてやろうなんて思う人間は、嫌悪を感じる一部の聖職者や活動家を除き、軍人と政治家以外に見たことがない。そんな世界や人間の中で人生を謳歌したいと決めた私が、普通の生活、普通の妻、普通の母親を出来るとは思えない。

「すまないエド!待たせた!」
「いいえ。コートは返してもらえましたか?」

この人の不機嫌な眉の形は生まれつきではない。そんな彼が少し笑い戦利品のコートを高々と持ち上げるから少年のそれのようで微笑ましく思う。車に乗り込みドアを閉めると大尉が「いい音だな」と言ってくださった。

「それは、どうも」

私に気を使っての言葉でしょう。車好きの人間には『音』でも褒めていれば機嫌がとれると思っているのだろう。

「ドアフックのかかる音が三三式のキャノピーを閉め切る音に似てる」
「エンジンじゃなくドアの音?」
「ああ、重さもいい」

この大尉殿も相当の変人だと思う。隊長室の窓、助手席の窓からですら、毎日見てきたであろう基地内を興味深く、少し微笑みながら眺めるのだから本当に少年のようで面白い。エンジンオイルが温まったのを油温計で確認して、夜の街にヘッドライトを向けて、ゆっくりと走り出させた。クラッチペダルを踏みギアを二速からニュートラル、少しアクセルペダルに触れて、クラッチペダルを踏み三速。そしてクラッチを放して、三速へ繋ぎ加速して五十メートル先の未来を照らす街路灯が速くなっていく。なんとなく電源を入れたカーラジオから、くだらないラブソングが垂れ流されていた。

「煙草を吸ってもいいですよ」
「悪い」

大尉が少し窓を開け煙草に火を点すと、窓から入り込む春夜の風が心地よく車内を駆け抜けていく。大尉が街の灯りを眺めながら「このエンジン一発調子が悪いな」と言うので「見てあげる時間が無くて」と、こんな日に限って初めてプライベートの話をした。飛行機乗りは機械の不調に敏感なのだろう。助けのない空の上で機関に何かあれば、あとは滑空し、平らな大地があることを祈るしかない。もしくは飛び降りパラシュートを開いた先が、海だとしてもよく船の航行がある海域だったり険しい山岳地帯でも下山できるなどの生存確率が、すこしでも高いということを祈るしかないもの。同時に、それくらいに身の回りにも敏感になって欲しいものだ、とも思った。

「大尉の周りを【内閣府独立情報収集分析局】が嗅ぎ回っています」
今日の本題を切り出すと、大尉が煙を勢いよく吐き押し殺すように笑った。

「くっくっく…………!なんだ!私を乗せたのは口説くためじゃなかったのか!」
「笑い事ではありません」
「私を嗅いでも良い匂いはしない」

そんな、やさしい表情で答えるなんて、ずるい。

「私は心配して……!」

深くシートに座りハンドルを握っていて、身動きがあまり取れない私に助手席からセンターコンソールを越え、近づくと唇に指をあてて口を動かし言葉は出さずに意地悪に何かを言う。エンジンノイズとミッションノイズ、ロードノイズ、エキゾーストノートが厚く響く、少しの沈黙が現れた。

「【陸軍省情報局】から来た君が面白い事を言う。
 君が第八騎士団に来る前、陸軍省情報局に来る前はどこにいた?
 私を疑う根拠になった情報は誰が報告した?」

「………………」

「答えられないだろう?答えなくていい。私も答えない。お互いに知らなくていいことがある」

大尉が唇から指を離して助手席に戻ると窓に肘をかけて頬杖をし、その不機嫌な眉の形のまま微笑んで三十六番街の通りにあるコーヒーショップの前で止めるように言った。

「ここのコーヒーが好きでね」
渡されたカップを窓越しに受け取り、ひと口。

「…………美味しい」
「君はそんなに嘘が下手だったか?」
いくら私が隠しても、このひとには動揺している心が隠せなかった。

「私もプライベートで三七ヒュンフに乗っている」

煙草を咥えて微笑む。

「私のはコンプレッサモデルだ。
 君のクーペと見た目は似ていても中身は別物。
 ドアも厚いくせして中が抜かれているから閉めた時にいい音はしない。
 だが三三式のエンジンを作った技術屋が設計開発に携わっている」

貴方も私と同じ、世界の望まない場所で生きる人なんでしょう。

「ヒュンフクーペ・コンプレッサはトロフィーに出場するために百五十台製作されたものですよね」
「それも調べたのか?」

また意地悪な笑みを浮かべる。このひとはずるい、そんな顔で笑われたら何も言えなくなる。

「エド……?戦時だというのに、この浮かれた街をおかしいと思ったことはないか?」

それはどういう意味で…と反応したときには大尉は煙草を消し「ここからは地下鉄で帰るよ」と言って、戦利品のコートの背を見せ地下鉄の駅へと降りる階段に向かっていた。

…………………………

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